要因④「室内環境」の解決方法|特性要因図 冷暖房(空調機)の電気料金が高い 遮熱性・断熱性・気密性・熱源の有無によって大きく変わります。

特性要因図の各要因毎に見ています。

①使用方法
②電力契約
③室内機
ときました。

今回は

要因④ 室内環境 

特性要因図 要因④室内環境

全部で、10項目上げました。
三匹の子豚が建てた家のように、建物によって大きく室内環境は変わってきます。エアコンを利用するという前提では、遮熱性・断熱性・気密性、そして室内での熱源の有無によって大きく変わります。
この要素は、項目は多いですが、解決方法は、重なるものが多いと思います。

遮熱は、外部からの日射を遮っているかどうか。夏の西日は室内の奥まで入ってきて、またホント暑いですね。
断熱は、屋内と屋外の熱の移動を防ぐかどうか。断熱があると保温効果が高まります。
気密は、隙間風など空気の移動を防ぐかどうか。隙間があるとどうしても熱も移動をしてしまいます。
熱源は、クリーニング工場のアイロンのように、高温で使用するもの。使っているだけで暑くなります。

では、順にみていきます。
順不同で、特性要因図に書いてある順とします。

1.室外温度と温度差が大きい

エアコンは、屋外と屋内の熱交換を行う機器となります。

冷房であれば、27℃設定にし、外気温(最高気温)が35℃とすると、その差が8℃
暖房であれば、20℃設定にし、外気温(最低気温)が2℃とすると、その差が18℃

冷房運転時に比べ、暖房運転時の方が、室外機が煩く感じることがあるかもしれませんが、この温度差の影響もあると考えられます。勿論、室内機の振動を緩めるためのゴムの有無など他にも考えられますが。

ここで示した、(夏の)最高気温・(冬の)最低気温は、浜松市の平均的な気温としました。
ただ、実際には、エアコンの場合は室外機周辺の温度と比較しなければなりません。
気象庁発表の外気温が35℃でも、室外機周辺温度が40℃を軽く超えていることは珍しくありません。
・直射日光が当たる
・屋根の上やアスファルトの上で反射光が当たる
・壁からの反射光が当たる
・風が通らない
これらによりどうしても高温になってしまいます。

磐田市の某工場で温度測定をしたときの気温です。
2023年7月20日15:00 気象庁28.6℃ 室外機置場(西日が当たる場所) 39.0℃ でその差はなんと、10.4℃でした。

(結論:解決方法)
まずは設定温度
要素①の設定温度でも書きましたが、冷房・暖房運転における機器毎の設定温度目安を決めることが大事になります。
人により暑さを感じる基準も異なりますので、快適性評価(PMV)データなどによって定めるのも良いと思います。

仮に、冷房を19℃に設定し運転すると、それだけで、外気温との差は大きくなってしまいます。

次は、室外機周辺温度
因みに、古い機種の場合、43℃を超えると運転も厳しくなります。
機器のカタログなどに記載があると思います。

暖房運転時は、室外機周辺温度の対応は難しいのですが、
冷房運転時であれば、
日除けを設置し直射日光や反射光が当たらないようにする
風通しを良くするなどで、
少しでも気象データとの差を少なくする工夫があると熱交換効率も変わってきます。

室外機の日除けは、関西電力管内の事業所は多くのところが対策が取られている一方、その他の地域はあまり対策が取られていないという印象です。(省エネ提案を行う上で、室外機の現調を行うため、現地で見させていただいております。)

室外機吹き出し

また、冷房運転時は、上のサーモグラフィカメラの画像の通り、室外機から熱い熱を放出します。これが、近くに壁があるとまたその熱を自ら吸い込んでしまいます。そのような状態ではなかなか室内は冷えないです。
他の室外機から放出された熱の影響も考え、その向きや距離もある程度離す必要があります。
この辺りは、設置工事を担当する方が留意すべき事項ではありますが。
ルーバーなど設置し、上方に熱を放出する工夫などで対応は可能です。

室外機関係については、要因⑥室外機編でまたご説明していきます。

おススメしていませんが、夏場には、室外機に散水するというところもありました。
関西の誰もが知る大企業の工場に於いて、散水設備がありお話しを聞いたことがあります。
故障リスクの指摘に対し、「故障した場合は修繕する。その修繕費支出と電気料金削減を比較した場合、電気料金削減を取る。」と敢えて故障覚悟でもその対策として設置したということです。水道料金も上がりますが、それでもです。

2.デマンド監視で頻繁に運転停止している

デマンド監視は重要ですが、監視して警報が鳴るなどして対応を行う場合、人の手によってエアコンを止めて一定時間我慢するということを行っているところも決して少なくありません。

ただ、ある一定時間停止することで、
・室温が上がりその分再始動時負荷が大きくなる、
・再始動することで始動電流は通常運転時に比べ高くなる
消費電力量として抑制できているかどうかはしっかりデータで確認すべきだと思います。

また、どこを停止することで効果があるのかも、機器毎の使用状況などから判断する必要もあると思います。

我慢した割には、その効果が見えないとなると、意欲低下にもつながってしまうかもしれません。
健康を害してしまうのは論外です。

(結論:解決方法)
事前に、停止できるものがあるのか、停止するとしたら何分間など事前にシミュレーションすることで、可否を検討するのが良いと思います。

使用電力の状況だけ見てしまうと、現在の気温や室温などを無視して停止してしまう可能性もありますので要注意ですね。

当社では、圧縮機をコントロールするシステム「Eco Data BeONE」ご提案しています。
(単純に強制的に停止、また再起動させるシステムの場合、故障リスクがありますのでご注意下さい。)
エアコンの電気使用量の90%が圧縮機の稼動によるものです。
エアコンの圧縮機の稼働状況を常時監視し、傷めないように最適なタイミングで圧縮機を30分に1回確実に制御し送風状態にすることで消費電力を削減するというものです。

例えば、30分に1回4分30秒エアコンを送風状態にすると15%削減となります。

3.換気扇等で排気している

窓を開けての自然換気などにつきましては、要因①使用方法でご説明させていただきました。
昔は、隙間風も多く、排気も吸気も窓などの開口部を開けてでしたが、今は機械でという場合が多いと思います。
一般家庭でも、排気は換気扇、吸気は吸気口などからというパターンが多いと思います。
エアコンで、排気機能を持っているものもあります。

自然であろうと機械であろうと、換気をしている以上は、排気は熱も放出し、吸気は熱を取り込んでいます。
室内と室外の温度が異なる場合は、室内の快適な空気を出してしまうということです。

換気の必要性については、感染症対策だけでなく、二酸化酸素濃度の関係などからも重要ということはお分かりいただいていると思います。

温度・湿度管理をしている室内環境にとってはマイナスですが、二酸化炭素濃度が高まると眠くなったり、頭が働かなくなってしまいますので、バランスですね。全体最適化と言って良いでしょうか。

工場などで時々見かけるのが、熱源のある機械などの設備です。
かなり高温になるのですが、そこに設置しないといけない理由があります。
でも、夏場なんかは堪りません。
そのような場合は、強制排気で熱を排出していると思います。

この排気量とエアコンでの熱交換量が近いと、なかなか室温を下げるのが難しいです。
となると、設定温度を下げたり、エアコンの設置台数増加や能力の高い機器の導入などが行われます。

おのずと、消費電力は増加します。

(結論:解決方法)
換気設備での換気は必須ですので、快適な室内環境を整える上で、これを止めることはおススメしません。
また、熱源がある状況では強制排気を止めるのは難しいと思います。
ただ、その熱源である設備からの熱の放出を少しでも抑えることができないでしょうか?

当社では、着脱可能な断熱ジャケット「えこきーぱー」をご案内しています。
次の、「5.熱源がある機械が多い」でご説明していきます。

4.熱源がある機械が多い

製造工場では、バルブ、フランジや、熱交換器、射出成形機、乾燥炉・連続炉・溶解炉など熱を利用する温熱機器が多くあります。
クリーニング工場では、乾燥機やスチームアイロンなど、熱を発する機械が多く、また、乾燥器からでてきた衣類なども熱いため高温多湿になりがちです。

多少のエアコン設備では追い付かず、窓を開け通風させた状態でエアコンを動かしているところも珍しくありません。
もう、温度計など見たくない状況かと思います。

冬場でも暑いと感じるかもしれません。

この暑さ対策は少なくとも、外部からの熱侵入は最低でも避けたいところです。
屋根や壁・窓の遮熱です。

また、部屋全体を冷やすのでなく、人を冷やすスポットクーラーを合わせて活用するのも有効ですが、今までは排気の問題がありなかなか導入しずらいという課題もありました。

(結論:解決方法)
機器などから放出される熱を冷やしてやらなければいけない場合、例えば電気室やサーバールームなどは、強制排気やエアコンの増設や能力アップで対応せざるを得ないと思います。

一方、機器から放出される熱が実はロスになる場合も多くあります。移動距離も影響しますね。
そのような場合、当社では着脱可能な断熱ジャケット「えこきーぱー」をおススメしています。
工場内の設備や温熱機器に繰り返し使用できる断熱ジャケットです。雰囲気温度の上昇に影響を及ぼす輻射熱を抑えるので、保温厚が少なくても絶大な効果を発揮します。誰でも簡単に着脱出来るのも特徴です。

7・小型電気炉

5.人が多い

電車・バスで、満員の状況と空いている状況では、言われるまでもないと思いますが違います。

人一人の安静時の熱量は、100Wと言われます。そう、人間も熱源です。
電気ストーブは400~600Wで使用されると考えると、同じ部屋の中に4人~6人いれば、電気ストーブを使っているのと同じ程度ということですよね。

また、事務所であればパソコンも1人1台は使っていますのでそういった機器からの発熱も多くなってきます。

業務用エアコンを設置する際は、スペースの広さだけでなく、そのような空調設備設計を行うと思いますが、それでも何年も同じ状況でということはないのではないでしょうか。そのため通常は、100で良いところを120位、余裕を持たせて設置している筈です。
それでも、当初想定と変わってくることは多々あります。

(結論:解決方法)
熱い寒いは、どうしても個人差があります。
要因①「使用方法」で説明していますが、快適性評価(PMV)データなどは参考になると思います。
着衣の工夫や、部屋でというより個々への対応が必要になってくると思います。

6.開口部が多い

開口部とは、玄関・勝手口・窓や天窓を指しています。
建物の出入口の他、採光・通風・換気・眺望を得ることなどを目的として壁・屋根に開けられた部分です。

どうしても、開口部からの熱移動は避けて通れません
熱は熱い空気→冷たい空気に移動します。

開口部からの熱の出入り

2階建てであれば、1階より2階の方屋根に近く夏は暑く感じるのは、屋根からの熱の侵入が考えられます。
他にも、外壁や床、換気口などがありますが、何と言っても熱の移動が多いのは窓です。

ガラス張りやビニールハウスを想像してもらえば分かると思いますが、日光は遠慮なく入ってきます。エアコンを動かしても、どんどん熱は保温されずに動きっぱなしになります。

夏は、窓からの熱侵入を防ぎたい(遮熱)し、エアコンで冷やした空気を出したくない(断熱)。
冬は、窓からそこそこの直射日光を取り入れたいし、温かい空気を出したくない(断熱)。

(結論:解決方法)
玄関や勝手口につきましては、しっかり閉めましょう!ということですが、問題は窓です。
遮熱と断熱の両方を意識していく必要があります。
別途詳細を説明していますので、コチラ☟をご参照ください。
暑さ寒さの原因は窓ガラス?窓ガラスの遮熱・断熱が必要な理由|住宅の熱の出入りが多いところはどこか?フィルムは?

バランスの良い方法として、窓ガラス遮熱コーティングとブラインドまたはカーテンの併用です。

7.直射日光が当たりいつも暑い

直射日光が当たるのは、やはり窓の影響が大きいです。
冬であっても風を遮っている窓の内側では、直射日光が当たるとかなりの暑さです。
とは言え、完全に遮熱してしまうと折角の温かさも自ら遮断してしまうことになりますので、ある程度の日射は入って欲しい。バランスが大事ですね。

窓ガラスからの距離によっても大きく変わってきます。
窓ガラスから1mの距離で44℃の場合、2mで39℃、3mで37℃というデータもあります。

(結論:解決方法)
輻射熱恐るべしです。
直射日光が当たることで、紫外線による日焼けや色落ち、劣化も考えられますので、遮熱は大事になります。
ただ、気候や天気によって調整できることも必要になりますので、上記「6.開口部が多い」と同様の対策が有効だと思います。

窓ガラス遮熱コーティングを施工したところは、追加工事をいただくことが多いのも特徴です。
2重窓は、省エネ窓ガラスでないものを2重にした場合、断熱層はできますが、遮熱性は然程変わりませんので、遮熱性を持たす対策が別途必要となります。

8.熱だまりが発生している

熱だまりとは、部屋の中に熱がこもってしまうことです。
室内の空気が循環していないことが原因だと思います。

温かい空気は上に、冷たい空気は下に
什器や荷物が積み上げられていて循環しないということもありますが。

(結論:解決方法)
循環させてやることで解決ですね。
熱だまりができると、カビや結露発生の原因ともなります。
扇風機やサーキュレーターを活用して、循環がお手軽で効果があります。

要因①「使用方法」の、「3.空気が循環していない」をご参照ください。

9.屋外の熱が移動してくる

これは、遮熱・断熱・気密が影響してきます。
冬場に冷たい空気が屋外から入ってくると感じることがありますね。
これは、「6.開口部が多い」と同じです。
特に、遮熱が重要となってきます。

(結論:解決方法)
遮熱性・断熱性・気密性を高めるです。
「6.開口部が多い」をご参照ください。

自然換気で窓を開けているためという場合は、
要因①「使用方法」の、「2.換気の実施で熱移動が発生 設定温度にならない」をご参照ください。

10.室内の熱が放熱される

断熱・気密が影響してきます。
せっかく快適な温度の空気となっても、開口部などから熱が逃げてしまっては勿体ない。

保温性のないボトルやバッグを持っているのと同じです。
氷が入っていても、ビニール袋に入れたアイスクリームは溶けてしまいますね。

(結論:解決方法)
断熱性・気密性を高めるです。
「6.開口部が多い」をご参照ください。

夏場に、換気中に直射日光が当たり、暑い空気を室内に入れてしまい、断熱性がある窓を閉めると温められた空気が逃げて行かないということになりますので、この点はご留意ください。

業務用エアコン、冷凍機の省エネのことなら当社株式会社i-Mage.まで、お気軽にお問い合わせください。

i-Mage.ブログ【Vol.0500】でした。

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