― 政府の電気・ガス料金支援で何が変わり、今後どう戻るのか ―
2026年2月適用(1月使用分)の燃料費調整単価が発表されました
2026年2月請求分(=2026年1月使用分)の燃料費調整単価が、
電力各社から発表されました。
当ブログでは毎月、
実際に使用した消費電力量に対して請求される「電力量料金(円/kWh)」 を、
中部電力ミライズ と
沖縄電力
の2社に絞って定点観測しています。
今回の最大の特徴は、
政府による「電気・ガス料金支援」が、2026年1月使用分から3か月間実施されている
という点です。
定点観測①:沖縄電力|電力量料金の推移

沖縄電力の電力量料金推移を見ると、
- 2022年の燃料価格高騰期に大きく上昇
- 2023年以降は高止まりしつつ上下を繰り返す
- 2026年2月請求分で、明確に水準が下がっている
ことが分かります。
今回のポイント(沖縄電力)
- 燃料費調整単価そのものは、依然として発生
- しかし
政府支援によって、実際の請求単価は大きく抑制 - 燃料構成上、原油・LNGの影響を受けやすい沖縄電力では、
支援の効果が非常に分かりやすく表れています
👉 「支援がなければ、この水準では済まない」ことがグラフから明確 です。
定点観測②:中部電力|電力量料金の推移

中部電力の電力量料金推移でも、同様の傾向が確認できます。
- 2022年に急騰
- 2023年に大きく低下
- 2024年以降は再び不安定な推移
- 2026年2月請求分で明確な低下
今回のポイント(中部電力)
- 燃料費調整額は引き続き発生している
- それにもかかわらず
実際の電力量料金は目に見えて軽減 - 政府支援が、燃料費調整額を直接押し下げていることが分かります
政府の電気・ガス料金支援とは?
今回の軽減効果の主因は、
2026年1月使用分から3か月間実施される政府の料金支援策 です。
- 対象:電気・都市ガス
- 内容:
燃料費調整額(電気)・原料費調整額(ガス)を直接引き下げ - 特徴:
- 使用量に比例して効果が出る
- 事業者・工場など使用量が多いほど恩恵が大きい
※ただし、特別高圧は今回の料金支援対象外です。
つまり、
電気を多く使う事業所ほど、支援の効果が数字として表れやすい
構造になっています。
ただし注意:支援は「期間限定」
ここで注意すべき点があります。
- 今回の軽減は 恒久的なものではありません
- 対象は
👉 1月・2月・3月使用分の3か月間のみ - 支援終了後は
👉 本来の燃料費調整額が再び電力量料金に反映
過去を振り返っても、
支援終了のタイミングで
「電気料金が一気に上がった」と感じるケースは少なくありません。
【考察】支援終了後、電力量料金はどう戻りそうか
ここからは、今回の定点観測を踏まえた考察です。
■ 「下がっている」のではなく「抑えられている」
まず押さえておきたいのは、
今回の電力量料金の低下は
燃料費調整額が消えたのではなく、支援で一時的に相殺されているだけ
という点です。
そのため支援終了後は、
- 燃料費調整額
- 卸電力市場価格
- 為替(円安・円高)
といった要素が、再びそのまま電力量料金に表れてきます。
■ 過去の支援終了時に見られた傾向
これまでの料金支援終了後の動きを見ると、
- 支援終了の翌月から
👉 見た目の単価が一気に上昇 - 実際には
👉 「値上げ」ではなく「支援前水準への回帰」 - 使用量の多い事業所ほど
👉 月額の増加額が大きく感じられる
という傾向がありました。
今回も、
2026年4月以降、電力量料金が急に戻ったように見える可能性
は十分に考えられます。
■ 中部電力で特に注意すべき点
中部電力では、
2026年4月から特別高圧・高圧向け標準メニューの見直し が予定されています。
- 卸電力市場価格の変動を反映
- 平均期間は「3か月 → 1か月」
つまり、
- 政府支援の終了
- 料金制度の見直し
- 市場価格の影響
が ほぼ同時期に重なる可能性 があります。
支援終了後の「戻り方」が、
これまで以上に分かりにくくなる点には注意が必要です。
■ 沖縄電力で注意すべき点
沖縄電力は、
- 化石燃料依存度が高い
- 燃料を輸送に頼る構造
- 為替・原油価格の影響を受けやすい
という特徴があります。
そのため支援終了後は、
- 燃料価格が高止まりしていれば
👉 比較的早い段階で料金が戻る - 夏場の需要増と重なると
👉 体感的な負担増が大きくなりやすい
と考えられます。
定点観測から見える、事業者にとっての本質的なリスク
今回の定点観測が示しているのは、非常にシンプルです。
- 電気料金は
👉 政策によって一時的に下がることはある - しかし
👉 政策が終われば必ず戻る
しかも、戻る水準は
燃料価格・為替・市場価格に左右され、
事前に正確な予測は困難です。
まとめ|「下がっている今」こそ見直しのタイミング
- 2026年2月請求分は、政府支援により大幅に軽減
- 中部電力・沖縄電力とも、グラフ上で明確
- ただし支援は期間限定
- 支援終了後は、再び本来の燃料費調整額が表に出る
電気料金が落ち着いて見える今こそ、
設備や使い方を見直す最適なタイミング です。
当ブログでは今後も、
中部電力・沖縄電力の 電力量料金の定点観測 を継続していきます。
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i-Mage.ブログ【Vol.0534】でした。
