特性要因図の各要因毎に見ています。
①使用方法
②電力契約
ときて、今回は
要因③ 室内機
全部で、6項目上げました。
エアコンを購入しようとすると展示されているのが室内機。最近は色々な機能がついていますね。特性要因図内には書かれていない「お掃除機能」についても取り上げて行きます。
では、順にみていきます。
順不同で、特性要因図に書いてある順とします。
1.機器の掃除が実施されていない
室内機の掃除としては、大きく2つに分けて行きたいと思います。
ひとつは1⃣自分達でできるフィルター、もうひとつはそれ以外の2⃣自分達では難しい熱交換器やファンなど
1⃣フィルター掃除
フィルターは吸い込まれた空気に含まれる埃などが室内機内部に入らないようにするためのものです。
家庭用ルームエアコンは、最近のものはお掃除機能付きがついている機種が多いですが、お掃除機能というのは殆どがこのフィルター掃除を行う機能です。(熱交換器を洗浄するという機種もありますが)
ただ、自分で取り外して洗浄する場合に比べるとどうしても埃等は残ってしまいます。
室内環境によりますが、工場や室内でペットを飼っている箇所などは、埃が溜まりやすいと思います。
また、コロナ禍で換気徹底をしだしたら、埃が溜まりやすくなったという施設もあります。
天井埋め込み型の場合、自動昇降しないタイプの場合、高くてまた什器などが邪魔でなかなか掃除できない場合もあります。
では、フィルターに埃が溜まるとどうなるのか?
上の写真のようにフィルターが詰まってくると、空気の循環がうまくできません。
殆どの機種が、フィルターの奥にある熱交換器に温度を感知するためのサーモスタットがついていますが、その感知が正常にいかなくなります。すると、まだ設定温度に達しないと認識してエアコンが動いたままになる(=電気使用量が増す)、若しくは設定温度に達する前に達したと認識してしまう(=冷えない・暖まらない)ということになります。
フィルター掃除の有無で5%程度消費電力が変わってくると言われます。
(勿論、掃除をした方が節電になるということ)
当社で、とある大手食品工場の空調機の消費電力を測定したときに、併せて室内機の吸い込み温度と吹き出し温度を測定した際に、フィルターの汚れに気づき、洗浄前後のデータを比較したところ、なんと約10%超の消費電力減となりました。
天井埋め込み型でしたが、上の写真レベルに汚れていました。
(結論:解決方法)
消費電力が5~10%も変わってくる、効きが変わってくる
これは、絶対フィルター清掃はやるべきですね。
お掃除機能付きであっても、冷房期前、暖房期前にチェックし、汚れがある場合は洗浄してください。
ただ、やるべきは分かるのですが、問題は誰が?
エアコン室内機は担当者が決まっていても良いのではないでしょうか。
マニュアルが完備されているので有名は某ファストフード店は、どの店舗に行っても室内機を見るとキレイです。どのタイミングで掃除をするか決まっているようでした。(以前24時間営業のお店に早朝行った際に掃除しているのを見かけました。)
あとは、どのタイミング、どのくらいのサイクルで?
通常は、頻繁に運転している時期は2週間程度のサイクルと言いますが、前述の通り、室内環境により詰まり具合は変わってきます。
そのため、当社では、このようなエアコン用マスクをご案内しています。
エアコン AT254フィルタチラシ (空気の王様 エアコンフィルター)
当社では、現在天井埋め込み型用を在庫していますが、家庭用は通販サイト等でも購入可能です。
「空気の王様 エアコンフィルター」で検索して見てください。
室内機の吸い込み口にマスクをするイメージです。
外から見て汚れなどが一目瞭然ですから、汚れてきたら交換するだけです。
2⃣熱交換器・ファンなどの清掃
フィルター以外の清掃ですが、何故必要になるのか?
まず、熱交換器は、その名の通り熱を交換するための重要な機器です。アルミフィンの薄いものが幾つもあるものです。これが汚損してくると、熱交換機能が低下してしまいます。
少しくらいの埃であれば、夏場の冷房運転の際の結露発生で、流してくれるかもしれませんが、こびりついていると洗ってはくれません。
次に、ファンですが、熱交換された空気をこのファンで吹き出すものです。室内機内部で運転中に回転しています。これが汚損してくると、室内にカビや埃を撒き散らすだけでなく、ファンの回転がスムーズにいかなくなります。効きにも影響してきそうですね。
完全分解クリーニング前後で比較すると、
消費電力で約10%改善
吸い込み温度と吐き出し温度のΔt(温度差)は、+5℃となりました。冷房であればより冷たい空気が出てくるようになったということです。
家庭用ルームエアコンでは、壁に掛けたまま前面カバーを取り外し、養生をしてクリーニングをすることがありますが、残念ながらルーバーなど前面から見えるカビや汚れは取れますが、熱交換器やファンの汚れは完全には取れません。
とは言え、一定の効果はありますが、実施は毎年もしくは1年おきくらいの短サイクルで実施が必要になってくると思います。
(結論:解決方法)
基本的に、エアコンクリーニングは、毎年実施すべきものではありませんが、数年に一度は実施することが望ましいと考えます。
当社では、家庭用エアコンの完全分解クリーニングを推進しています。
(ただ、現在は当社での作業実施をお休みしており、連携先に依頼しております。)
お掃除機能付きほど実は内部が汚れていることが多いというのは事実かと思います。
業務用エアコンのクリーニングも、飲食店では毎年、店舗などでは2~3年毎の実施が望ましいと思います。
このような大掛かりで、しかも費用も掛かってしまう作業を自分で行うのは、些か厳しいと思います。
特に、お掃除機能付きの場合は、電気配線が多く、水に濡らすと大変なことになってしまいます。
1⃣フィルター掃除でもご案内した、エアコンのマスク(空気の王様 エアコンフィルター)で対策するという手もあります。
人がマスクをするのと同じ、予防保全ですね。
“エアコン内部の防汚はもちろん、エアコンを撮って循環する室内空気中に含まれたPM2.5の付着したホコロや花粉、雑菌などの汚染物質を捕集・軽減し、さらにハイブリッド新触媒の抗ウィルス・抗菌・防カビ・消臭効果により、室内空気の洗浄効果も実現した高機能フィルターです。”
安価なフィルターや汚れたままのフィルターをつけたままにすると、フィルターに埃が溜まったのと同じ状態になり、吸い込んだ空気が内部に循環にずらくなりますので、熱交換効率が低下する可能性があります。
2.温度感知場所が適正でない
エアコンは、吸い込んだ空気が設定温度に達すると停止(緩く運転)し、一定の温度差となると運転を再開するものです。
上記フィルター掃除の中でも書きましたが、基本的に室内機の熱交換器のところにその温度感知するサーモスタットが取り付けられています。
室内機から吹き出した空気がどう動くか?
熱の移動(対流)を考えると、その室内機の設置場所が重要となります。
室内全体をというより、人がどこにいるか若しくは倉庫などでは物をどこに置くかで、その配置を考えるのですが、エアコン設置より壁や窓を優先して考えることが多いと思います。
そうなると、エアコン設置場所も限られ、室内の対流も思うように行かずということも多いと思います。
また、業務用エアコンの場合、サーモスタットがリモコンについている場合もあります。
その場合、リモコン操作を重視してしまいますが、温度管理上どこに設置するかは大切ですね。
早く感知してしまうと、思うような室温にならない。
遅く感知してしまうと、消費電力が増加してしまう。
(結論:解決方法)
温度感知をどこでしているのかを知り、その配置を検討した上で設置することが重要となってきます。
とは言え、色々な制限で設置場所が限定されてしまう場合は、室内空気の攪拌です。
要因①使用方法の「空気が循環していない」でも書かせてもらいましたが、吹き出された空気の攪拌を行うことで対処です。
その前を荷物などを積み上げて空気が循環しないようにするのはNGです。必ず周辺は空気が循環する空間を確保してください。
3.設置場所が適正でない
2.温度感知場所が適正でないと同様です。
温度感知場所の場合は、空気の吸い込み場所を意識しますが、この設置場所は、吹き出した空気の移動を意識します。
ルーバーの動きで、上下左右移動しますが、攪拌されて届くわけではありません。
また、温かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすいのですが、壁掛けの場合は、真下には行かないなど、どうしても全体に万遍なくは不可能です。
建築時に空調設備を意識した設計をしていない以上、設置場所の制約は避けて通れないと思います。
(結論:解決方法)
やはり、空気の攪拌が大切になってきます。
また、扇風機を使った通風や加湿器や除湿器(乾燥機)などを活用していくことも重要です。
4.風量設定が適正でない
つけた直後は強風で、ある程度したら弱風で、そうこれが「自動運転」です。
感覚的に弱風にしたままの方が、節電になるのでは?と思いがちですが、設定温度になるまで時間がかかればそれだけ運転が続いてしまいます。
今のエアコンはインバーター制御されているものが殆どであり、運転も負荷が軽い緩い運転になったり、急激に温度を変えるために負荷を高めた運転になってくれます。
(結論:解決方法)
ここは、迷わず「自動運転」です。
これが一番の省エネ運転となります。
何故、強弱などの設定ができるかは、電気料金より風量を管理したい場合があるからです。
また、自動運転にしているのに、風量が弱くなったと感じたら、ファンの汚損や異常の可能性もあります。
その場合は、清掃や点検を!
5.風向きが適正でない
空気をどこに吹き出すか。
上か下、左か右若しくはスイングさせる。
室内機の設置場所と何を・どこを適正温度にしたいかでその設定は変わってきます。
また、冷房か暖房かも重要な要素ですね。
(結論:解決方法)
上下は、冷房は上向き、暖かい風を出す暖房は下向きが良いと考えられます。
空気は性質上、冷たければ下へ、暖かければ上へと移動しますので、対流を促します。
スイングさせ自動で動くと、顔に当たるのが不快に感じてしまうことが多いと思います。
左右は、基本的には自動でスイングですね。
ただ、やはりサーキュレーターなどで攪拌はより効果を高めます。
扇風機での通風や、加湿・除湿で風の質を変えてやることも考慮したいですね。
6.定期メンテナンスが実施されていない
家庭用の場合は、汚損具合によりクリーニング実施程度ですが、業務用の場合、定期点検は重要になってきます。
器更新が簡単にはできませんので、今の効果を長持ちさせる「サステナブル」を意識していく必要があります。
汚損状況や消耗品交換など定期的にうことで、本来の機能を維持させていきます。
とは言え、経年劣化はどうしても置きますが、少しでもそれを抑制していくことは大切です。
(結論:解決方法)
本格的な冷房・暖房シーズン前に、試運転を実施する。
業務用エアコンであれば、その実施タイミングで定期点検を1年に一度実施します。
ただ、6月くらいから関連事業者は繁忙期に入りますので、できるだけ早めに予定を組むことをおススメします。
不具合が見つかった場合、部品調達や作業員確保が遅れ、対応が遅くなることも考えられます。
家庭用エアコンの試運転については、コチラ☟を参照ください。
夏本番前にエアコン試運転をしましょう!いざ使いたいときに使えないということがないように
お掃除機能付きエアコン
家庭用ルームエアコンを家電量販店などで見ると、殆どがこのお掃除機能付きです。
その機能を前面に出して宣伝しているものもあります。
ただ、完全分解クリーニングをしている者からみると、
本来付随機能である、お掃除機能付きの方が故障しやすい
お掃除機能付きがあることで却って内部が汚損する
ということがあります。
昔から言われていることだと思いますが、「シンプル・イズ・ベスト」
エアコン設置をするのにも室内機がかなりの重量になっています。
壁の補強とかも大丈夫か?
エアコンクリーニングも、電装部品が多くかなり手間です。
そして値段も高くなる。
あとは、本題の電気料金に関してですが、お掃除機能など付随機能で少ないとは言え、本来の冷暖房に掛かる電気使用が必要となります。
エアコンはお掃除機能が無いノーマル機種にして、サーキュレーターと加湿器を必要に応じ用意する運用で良いという意見は決して少なくないと思います。
業務用エアコン、冷凍機の省エネのことなら当社株式会社i-Mage.まで、お気軽にお問い合わせください。
i-Mage.ブログ【Vol.0499】でした。