【毎月更新】燃料費調整単価から見る電力量料金の推移|中部電力・沖縄電力の定点観測

毎月月末に各電力会社から発表される燃料費調整単価を受け、定点観測をしています。
もう10年以上前からの推移となっていますので少しデータが細かくなっていますが、ご了承ください。

言うまでもなく、電気料金の値上がりが、企業経営や事業所の運営に与える影響は決して小さくありません。

特に、工場・倉庫・店舗・介護施設など、日常的に多くの電力を使用する事業所にとって、電気料金は継続的に発生する重要な経営コストです。

コストアップ要因として直近では、最低賃金が改正され労務費が過去にないレベルでアップしている他、資材や原材料費も高騰していますが、電気料金は、電力会社が公表する燃料費調整単価によって毎月変動します。
だからと言って、生産量など活動量を調整する訳にはいかないわけですが、データとしては抑えておく必要があります。

そこで当ブログでは、毎月公表される燃料費調整単価をもとに、中部電力と沖縄電力の電力量料金の推移を定点観測しています。

今回の記事では、2010年から現在までの長期的な推移をグラフにまとめ、電気料金がどのように変化してきたのかを確認します。

1.なぜ燃料費調整単価に注目するのか?

電気料金は、使用した電力量だけで決まるわけではありません。

一般的に、電気料金は次のような要素で構成されています。

  • 基本料金
  • 電力量料金
  • 燃料費調整額
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金

このうち、燃料費調整額は、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格や為替の変動を電気料金に反映させる仕組みです。

燃料価格が上昇すれば電気料金の上昇要因となり、反対に燃料価格が下がれば引き下げ要因となります。

また、政府による電気料金の負担軽減策が実施される場合には、その補助によって実際の請求単価が変わることもあります。

つまり、燃料費調整単価を確認することで、毎月の電気料金が変動する要因の一つを把握できます。

2.今回の定点観測の方法

今回のグラフでは、中部電力と沖縄電力について、2010年からの電力量料金の推移を比較しています。

観測対象は次のとおりです。

  • 中部電力:低圧、高圧業務用電力FR-B
  • 沖縄電力:低圧、業務用電力、高圧業務用電力FR-B

各契約区分について、燃料費調整単価や再生可能エネルギー発電促進賦課金など、電力量に応じて変動する要素を反映した単価を確認していきます。

基本的な考え方は次のとおりです。

電力量料金単価=契約区分ごとの基本的な電力量料金単価+燃料費調整単価+再エネ賦課金

※実際の算定では、契約区分や季節別料金、政府の支援措置、各電力会社の料金制度などを考慮します。

今回は、電力会社や契約区分によって異なる料金水準を、長期的な視点で比較することを目的としています。

なお、基本料金や契約電力に応じた料金は含めず、使用電力量に応じて変動する単価に着目しています。

3.沖縄電力の電力量料金推移

沖縄電力の電力量料金の推移を見ると、長期的には大きな変動があることが分かります。
赤い横線は、特に意味はありません。
山の頂が雲の上から出ているのを見ると高い山が分かりやすいかなと思い、雲代わりに入れています。

① 2010年~2020年:比較的安定した推移

2010年から2020年頃までは、多少の上下はあるものの、おおむね一定の範囲内で推移しています。

燃料価格や為替の変動によって毎年変化はありますが、2022年以降と比較すると、比較的落ち着いた料金水準だったことが分かります。

② 2021年~2023年:電力量料金が大きく上昇

2021年頃から上昇傾向が強まり、2022年から2023年にかけて大きく変動しています。

世界的なエネルギー価格の高騰や為替変動などが、電気料金に大きく影響した時期です。

グラフからも、この時期の料金水準が、それ以前と比較して大きく変わったことが確認できます。

③ 2023年以降:高い水準で変動を繰り返す

2023年以降は、2022年のピークから一旦低下したものの、その後も上下を繰り返しています。

以前のような安定した料金水準に戻ったとは言い切れず、引き続き電気料金の動向を注視する必要があります。

4.中部電力の電力量料金推移

次に、中部電力の電力量料金を見ていきます。
こちらも赤い横線は、特に意味はありません。
山の頂が雲の上から出ているのを見ると高い山が分かりやすいかなと思い雲代わりに入れています。

① 2010年~2020年:緩やかな上昇と下降

2010年から2020年頃までは、沖縄電力と同様に一定の範囲内で変動しています。

途中、料金水準が上昇した時期や低下した時期もありますが、2022年以降と比較すると比較的安定した推移です。

② 2021年~2023年:急激な上昇

2021年後半から上昇傾向が強まり、2022年から2023年にかけて大きく上昇しています。

特に2022年から2023年にかけては、低圧・高圧ともに大きな変動が見られます。

燃料価格や為替など、電気料金を取り巻く環境が大きく変化したことが背景にあります。

③ 2023年以降:高止まりと不安定な変動

2023年以降、一度は大きく低下していますが、その後も上下を繰り返しています。

直近のグラフでも、料金水準が再び上昇する局面が見られます。

電気料金は、一度下がったからといって、その後も安定して推移するとは限りません。

特に高圧契約を利用する事業所では、わずかな単価の変動であっても、年間の電気料金に大きな影響を与える可能性があります。

5.電気料金の推移から分かること

今回の2つのグラフから、特に注目したいポイントは3つあります。

① 2022年前後のエネルギー価格高騰は大きな転換点

中部電力・沖縄電力ともに、2022年前後に大きな料金変動が発生しています。

それ以前の料金水準を基準にしていると、現在の電気料金がどの程度高い水準にあるのかを見誤る可能性があります。

② 電気料金は毎月変動する

燃料費調整単価は毎月見直されます。

そのため、電気料金の動向を把握するには、年に一度だけ確認するのではなく、毎月継続して確認することが重要です。

③ 使用量が同じでも電気料金は変わる

例えば、電力量料金単価が1円/kWh変動した場合、月間の電力使用量が10,000kWhの事業所では、月額10,000円の差が発生します。

年間では120,000円です。

電力使用量単価1円上昇による月額増加
1,000kWh1,000円
5,000kWh5,000円
10,000kWh10,000円
30,000kWh30,000円
50,000kWh50,000円

電気料金の単価変動は、使用量の多い事業所ほど大きな影響を及ぼします。

6.電気料金の動向を把握し、省エネ対策につなげる

電気料金の上昇に対して、企業ができることは電力会社の料金改定を待つことだけではありません。

重要なのは、電気の使用量そのものを見直すことです。

例えば、次のような対策が考えられます。

  • 空調設備の運転方法や設定温度の見直し
  • 照明設備のLED化
  • コンプレッサーなど生産設備の運転効率改善
  • デマンド管理による最大需要電力の抑制
  • 設備の稼働時間や運転スケジュールの見直し
  • エネルギー使用状況の見える化

電力量料金単価が上昇している局面では、使用電力量を削減することによる経済効果も大きくなります。

また、電気料金の推移を継続的に把握しておくことで、設備投資や省エネ対策の効果を検討する際にも役立ちます。

単に電気料金が高くなったと考えるのではなく、料金単価と使用量の両面から原因を把握することが重要です。

7.今後も毎月、電力量料金の推移を定点観測します

当ブログでは、今後も毎月公表される燃料費調整単価を確認し、中部電力・沖縄電力の電力量料金の推移を更新していきます。

毎月の変化だけでなく、2010年からの長期的な推移も継続して記録することで、電気料金の現在地を把握できるようにしていきたいと思います。

電気料金は、企業にとって避けることのできない経営コストです。

だからこそ、料金の変動を把握し、早めに対策を検討することが大切です。

今後も電気料金の動向に注目していきます。


【参考】

※本記事は電力量料金の推移を把握するための定点観測資料です。実際の電気料金は、契約内容、使用量、契約電力、季節別料金、各種調整額などによって異なります。

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i-Mage.ブログ【Vol.0544】でした。

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